農薬・化学肥料・添加物に頼らずに‘食’を創り出す、この20年間に出会った生産者の探訪記。食を探究する生産者や料理人や主婦の方に有機農業の情報も含め、生真面目に丹精込めて作られた食の技、思い、人、その背景を伝えていきたい。紹介する生産者は僕が心から応援したい一緒にあんぜんな食の世界を作ってきた仲間たちです。


〜北海道余市PART2(PART1〜 オーガニックマーケット北海道(2003.9.10訪問)
北海道の安全なフルーツと海産物めぐり
日本のリンゴのふるさと余市から自然を守る生産者!
オーガニックマーケット北海道



北海道を横断してようやく余市にたどり着く!
襟裳から車と電車を乗り継いで5時間半、小樽の駅に降り立ったのは9時を廻っていた。今回も菊地さんに迎えにきてもらった。
「強行軍だったねぇ〜」
そう、今朝は8時に羽田を立ち帯広から広尾、大樹、海岸線を南下して襟裳岬の高橋牧場で話をし、襟裳から夕日を追うように北海道を文字通り横断し積丹半島の付け根余市まで来た。いや、たどり着いた。


「余市じゃぁもう食事をする所はここしかないからホテルに入る前に早い所食べましょう」とすし屋に入った。車から降りて、立つと体がフワフワする。ちょうど片付け始めた所だったが、急いで胃袋の中に麦酒二杯と冷酒二本を大ぼ網で水揚げしたと言うマグロと他にイカ、カニ、ニシン、ヒラメ、ホッキ貝、あわび、塩洗いしただけのウニで満たした。美味!



遅い到着を待っていてくれた
菊池さん
今夜は疲れたからもう一軒だけと、タクシーを降りて居酒屋風の店に入ろうとしたら、「こっちだよ」と向いの新しいスナック「あいどる」に方向転換。店内は明るい木調白壁仕上げ、スキー選手の大きなパネルが1,2,3,4・・と飾られている。さすが余市はジャンプの町、入ってくるなりタイガースの話題ではなくジャンプスキーの話題だ。菊地さん応援団なのかな? どうも誰かの後援会長みたいな話を他のお客さんとしている。

まあいいや、俺はニッカウィスキー。「お客さん、えらい!ウィスキーはニッカよ」「はぁ、いつも竹鶴を飲んでいます」よいしょ! 聞けば隣の席の60代後半の元気なご婦人の亡くなられた連れ合いは定年までニッカに勤めていたそうで、よし、今日はもう一丁上のグレードでいくかと更に、よいしょ!


まん中の女性が舟木選手のお母さまデス。
「菊地さん、ここどう云うお店」「舟木選手のお母さん」なるほど納得。うち解けてきたところで3人でパチリ。


「歌いくかー」余市の夜は、またまたオールダーズで更けたのであります。



翌朝から視察開始!
翌朝、雨に煙る余市の町を一望し、まず、阿部さん(70才)を訪ねた。丁度早生のプルーン「パープルアイ」の出荷準備をしていた。

阿部さんの畑の経営面積は3町歩(約1万坪)にサクランボ、リンゴ、ブドウ、プルーン、洋ナシ、桃を作っている。「こちらのプルーンを食べてみてください」と脇から出した。皮の傷と木成り完熟の軟らかくなりで撥ねたものだ。うまいうまい。これらは消費者の口には入らない。
いずれも有機肥料での土作りと減農薬栽培。「娘三人が嫁いでしまって、私の代で終わりかな。でもグループには若い人たちが増えて来たから、まずはまずは・・安心しています。」穏やかな人だ。

プルーンの根元に日本ミツバチの巣箱がありました。
ミツバチの働きで広い園内の受粉作業はしません。

裏の園地に入ると下草は刈り込まれ手入れの行き届いた果樹園である。赤茶けた枯草や表土はどこにも見えない。

菊池さんと阿部さん。
北海道の農家は百姓ではなくファーマーがぴったり。
すなわち、除草剤は使っていないと言うことの証明ですよと同行者に説明し、その草刈の大変さを菊地さんが解説した。3町歩手刈り、気が遠くなる、除草剤なら一発でっせ、楽だが食べる人の健康を害し地下水を汚染し土中の微生物を死滅させ、ゆえに、不健康な植物を育て、おいしくない作物を育みます。

阿部さんこれからもゆったりやって下さい。




次は港に行った。「今日はだめだな」鮭も甘エビ、ぼたんエビも揚っていない様子だ。「ニシンもホッケも鮭も泊原発が出来てから冷却排水が海水温を上昇させた結果、魚は沖合を回遊するようになった、前は定置網でマグロが捕れたが今じゃ入らない網をかけているだけだ。」と云う。

「ロウソク岩も風前の灯だな」「美国のウニも美味くない、野塚でなけりゃだめだな。昆布も野塚迄行かないといいのが生えていないからウニもまずいのサ。」「夕べのすし屋の奥さんの親が80過ぎて現役のウニ漁師なのサ。この人が作る粒ウニが最高なのサ。」
「塩は海塩を使い、いいウニだけの昔ながらの塩梅サ。ミネラルが違うしょ。重石も強めでサ。じっくり旨味が醸されて美味いのさ」「今はサ、JTの薄塩で重石も軽くして。水分を多く含むから軟らかくて新鮮そうに感じてグラム数も稼げるけど、本当の美味さはでないのさ。」




グルッと港を廻って、屋号「竜宮城」と云う水産会社に入った。ちょうど素干しカレイとホッケの干物を製造していたので見学した。
訪ねるとここも塩は自然塩を使っているとのことだ。菊地さんのオルグは行き届いている。

人は集めたけれど鮭が揚がらないのでカレイの加工をしているとのことだ。太平洋側では早くから秋刀魚は揚がったが今年の鮭は遅れているとのことだ。ここで、おいしい白貝を見た。「昔はカレーの具と言えば白貝だったのさ。ダシが出て美味いのサ。今では余市でも貴重品。」では、しろ貝の記念撮影。
素干しカレイ

ホッケのひもの

ほんと、美味しい白貝。
あまり出回らない。




紅玉の改良種『あかね』
今は、北海道大学の試験圃場になっている日本のリンゴ栽培発祥の園をのぞいた。
真っ赤に実っているのが紅玉の改良種「あかね」だ。酸味の有る紅玉は近年生産量が減少し、生食用にこの品種が少量出廻り始めている。見るとリンゴの玉の上から葉っぱが出ているが、市場に出すものはこの葉があると玉に葉の影が白っぽく残るので価格が下がる。

(この写真は北海道大学のリンゴ園)
したがって葉を取るのだが・・・
(この写真は葉を取った一般のリンゴ園)
当然光合成によって成長するのが植物であるから葉をつけた栽培のリンゴのほうが美味しいにきまっている。さすが北大の園地エライ!



西崎さんのサクランボ
余市川を渡って西崎さんの所に向かうとしよう。
この余市川が鮎の生息北限だそうだ。
「西崎さんお久しぶりです。」園地を見ると所々白い粉が残っている。昨日、石灰を撒いたのだそうだ。「キーゼライトも入れました。」ウン?「小祝さんの指導を受けたのですか。」講習会に出たのだという。「今月号の現代農業にたくさん書かれていますよ。」「そうですか、まだ読んでいないのです。」今年のサクランボも美味しかったけれど、来年はもっと期待できるなと内心思ってしまう僕の舌です。


西崎さんのサクランボ園

西崎さんと私足元の草を見てください。
草生栽培と言います。

園の一角に「あかね」が色付いている。よく見ると玉の上部には葉がしっかりと茂っています。「小祝さんがこの方が美味しいリンゴができると教えてくれたのです。」という。オイオイそこまで言っているのか君は。こりゃ流通に携わる側はもっとこの事を消費者に伝えないといけないなと反省して、さあ静岡に帰りましょうか。来年のサクランボは絶対おいしいぞ!