農薬・化学肥料・添加物に頼らずに‘食’を創り出す、この20年間に出会った生産者の探訪記。食を探究する生産者や料理人や主婦の方に有機農業の情報も含め、生真面目に丹精込めて作られた食の技、思い、人、その背景を伝えていきたい。紹介する生産者は僕が心から応援したい一緒にあんぜんな食の世界を作ってきた仲間たちです。


〜静岡県沼津市〜 ローマンホリデーのアイスクリーム/株式会社サンオーネット
添加物を拒否したおいしいアイスクリーム
アイスクリームのアイは‘愛’からはじまる! 
ローマンホリデー


梅雨明け宣言も近いことだし何処へ行こうかと考えていたが、やはり夏は涼しいところ。アイスクリームメーカーだ!と朝一番に連絡し午後の訪問となった。

「どう、順調?」
「いや、今月はめずらしく売上伸びていません。」
「そう、気温は低いし日照量は少なくて農家も困っているものな。」

今まで工場で製造していたんです、と
白衣姿で出てきた田中さん。
(ローナンホリデー/株式会社サンオーネスト社長)

そのままラインに戻ってもらい、本人に工場内を写して貰ったのですが、白・しろ・白? 
これ一体ナ〜ニ。 

『白っぽい粘体が真っ白なバット容器に手詰めされているのが桃のシャーベットです!』と説明されるとそう見えますよネ。


今日の僕は、いつになく態度と言葉遣いの横柄なおじさんになっています。
彼は赤ん坊のときから私が予備校へ行くまで手をひいた、10歳違いの弟分なのです。


アイ、アイ、愛!
彼からアイスクリームの話を聞いていたこの短い時間内に「アイスクリーム作りは愛情です。」「敬愛が大切です。」「モノは生きているから愛おしむと応えてくれる。」「最後に送り出すときも声をかけます。‘お客様に喜んでいただいて幸せになってもらって!’と。」とすべての工程に愛なのです。モノ作りに打ち込む人たちは多かれ少なかれ自分達の製品に愛情を抱いています。それは、全製造工程通して細かい配慮と注意を怠らず、より良いおいしい商品として顧客に提供したい気持ちの現れです。製品に注ぐこの愛情の強さと持続力こそが結果を残すのでしょう。進行形の時には楽しいワーキング、振り返ったとき努力したという表現になるのかも知れません。

「愛」。永らく口にも文字にもしなかった言葉だったが気持ちよく僕の体に浸透した。愛だ!



桃のシャーベット試食!
「試食してみてください」と出されたアイスクリームを口に近づけると、桃の香りがしっかりします。香料を使った香りと違い、柔らかくて甘い桃本来の香りです。舌の上にのせるとその香りは口腔内から鼻腔にスッキリと抜け、とても豊かな芳香です。果肉がたっぷり入った(練りこまれた)アイスクリームは豊潤でネットリとした舌触りですが後味はサッパリしています。(正確な表示はシャーベット)まさに水桃そのものです。
桃のシャーベットの次にプラムシャーベットを試食!



おいしさの秘密
味の秘密は何処にあるのか聞くと答えはすこぶる簡単。
生食用のおいしい桃を愛情込めて、ひとつ一つ手で皮をむいて使うこと。

以前、加工原料用の桃を進められて使ってみたが全くだめだったそうだ。良い原料を使わないと良い製品は出来ない、この一言に尽きる。そして、風味を損なわない殺菌温度。だが一般的製品は香料や着色料、安定剤などを使って(本来の風味を補うとも言うようだが)それらしく造る不自然創作商品と言える。
まともな食べ物は消費者が学習するか運良く気付くかして、なお十分な注意と努力を払って購入しないとないと食べられない今の豊かな生活、何か違いませんか?

その点、ここのクリームファンは「おいしい」と味わうだけで、食べ物が本来持つべき必要条件を満たす食品を選択できるのですから言うことなしっ、と。



あんしん&あんぜんな原材料
ローマンホリデイでアイスクリームに使われている原材料を列記してみると、
●主原料の牛乳は丹那低温殺菌牛乳生産者部会の低温殺菌牛乳、生クリーム
●BMW農法で育てた山梨・黒富士農場の平飼い鶏卵
●種子島の洗双糖、北海道産ビート糖、麦芽水飴
●減農薬・無農薬の果物や野菜、ただし、これに関しては手に入らない場合一般栽培の果物も使いますとのことだ。
●寒天、天然由来のペクチン
と生真面目だ。
(OEM・製造委託の相手先ブランド製造もしている、そこには香料・乳化剤の使用はそりゃしょうがないワナ。但し、その場合はきちんと表示しています。)



お次はメロンシャーベットっ!
ともかく色のない写真だから、色のある製造作業はないか聞くと、桃も終わり、プラムも終わったところ。でも数日中にメロンを製造するというので、その作業風景を送ってもらう事にした。
『メロンむずかしいんです。』と言うので一瞬、写真のことかと思いきや
『アイスにすると香りが時間と共に消えていくのです。』と次の製造課題の話だった。
(店頭でコーンカップで販売するときの温度管理は-18℃より若干高いので香りは経過時間で変化しますが、通常の冷凍保管では大丈夫です。つまり店頭売りでの香りの心配だったってこと。ほっ・・。)

メロンの香気成分は他の果物の香気成分と違うのかなと思いつつ、あの香りはエステル系の香りだし多分追熟中にその多くが発生するのかな、だとすると揮発性が強いか、それで凍結しても飛んでしまうのかな、だとすれば酒のつけ香みたいに揮発香気を圧縮抽出して戻すかアルコール添加で止めるか、でも本来的ではないな、それより強力な磁性で水分のクラスターを小さく整えて香気分子と結合できないか・・・、思わずモノ作りオヤジ時代のサガで頭の中は問題解決に傾いてしまうのであります。それより、その旨を書いて早く食べてもらうことが一番良いことかな。考えただけでとても美味そうなメロンシャーベットです。楽しみだ。



アイスクリームの命、主原料の牛乳のこと
さて、ローマンホリデイで一番配慮しているのが主原料の牛乳です。
牛乳は乳等省令によってその殺菌法が決められています。
62℃で30分間加熱殺菌するか、又は、これと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌しなければならないとされています。上限温度は有りません。(平成16年4月1日からは63℃に改正されます)
この殺菌法はルイ・パスツールがワインの異常発酵を抑える為に発見したパス殺菌法です。
この殺菌方法の優れているところは
●牛乳本来の風味をそこなわず
●耐高温性の善玉乳酸菌を殺さず
●悪玉の大腸菌や結核菌を死滅させます。
●さらに消化吸収されやすい水溶性のタンパク質と水溶性のカルシュウムはそのまま残ります。
このタンパク質は75℃以上の殺菌をするとカルシュウムイオンと結合結晶化し消化吸収されにくくなってしまいます。したがって、飲用牛乳にとってこの殺菌方法は非常に優れています。

62℃と63℃、この1度の差は生産者にとって非常な努力が要求されてきました。
それだけ細菌数の少ない原乳を生産しなければならなかったからです。

ローマンホリデイが設立された1988年当時、62℃の殺菌温度で販売していたのは関東圏では東毛酪農、高橋乳業、丹那牛乳ほか2〜3のメーカーが有ったかも知れません。
現在は低温殺菌(Low Temperature Long Time)及び変則低温殺菌(72℃〜85℃15秒加熱のHTST・同温度帯15分加熱のHTLT)牛乳の消費量は全消費量の10%程度で、その多くは消費者団体が主です。
残りの90%は超高温殺菌牛乳です。(85℃5分予備加熱後120℃〜150℃1秒〜3秒加熱のUltra High Temperature・これをアルミコーティングした紙パックに充填すると常温保存が出来るロングライフ牛乳となります。これらは飲用にはお勧めしません、料理等には良いでしょう。)

これならばどれほど原乳が細菌に汚染されても善玉乳酸菌ともども無菌状態になります。これを滅菌といいます。当然コゲ臭がします、しかし長年飲んでいますとこれをコクと感じている消費者のほうが多いいのですから不思議です。?????



おいしい技術!
製造工程ですが、この低温殺菌牛乳に丹那の生クリーム、平飼い卵、洗双糖、バニラビーンズを混合溶解後濾過し、ホモジナイズ(脂肪球を均質化)します。そして、乳等省令に基づく殺菌(68℃で30分間殺菌、又は、同等以上の殺菌効果・・・)をします。0℃〜5℃で冷却保持エージング。そしてマイナス2℃以下でフリージングし空気を攪拌混入し、容器充填してマイナス18℃以下で硬化、保存します。
解説はとても簡単ですがここにおいしい技術が秘められているのです。



アイスクリームの保存のこと
アイスクリームやシャーベットには賞味期限の表示はありません。
これも乳等省令に定められています。理由はマイナス18℃以下の保存温度では微生物の繁殖はなく、状態の変化もないからです。
ご家庭の冷蔵庫では開閉による温度変化を伴うので購入後3ヶ月程度がおいしい目安となります。




これがオトコのプリンアラモード!?
ロックグラスでお洒落にキメる!
さてさて
僕のこの日の夜は国分酒造協業組合の芋麹で醸造された芋100%焼酎をロックで楽しみ、デザートは富士宮・青見農場の平飼い名古屋コーチンの玉子と丹那の低温殺菌牛乳で作ったプリンとローマンホリデーの桃のシャーベットに西崎さんのさくらんぼを添えたプリンアラモードを食べたのだー。ウッヒ!



ローマンホリデー商品はこちらのお店から購入できます。
[お茶うらら]