農薬・化学肥料・添加物に頼らずに‘食’を創り出す、この20年間に出会った生産者の探訪記。食を探究する生産者や料理人や主婦の方に有機農業の情報も含め、生真面目に丹精込めて作られた食の技、思い、人、その背景を伝えていきたい。紹介する生産者は僕が心から応援したい一緒にあんぜんな食の世界を作ってきた仲間たちです。


徳島県鳴門市里浦〜 鳴門海峡大磯崎若布漁師の会(2003.8.28訪問)
鳴門炭干しワカメ&減農薬鳴門金時芋
伝統の名産品を新技術で守る
村さん



早朝のホテルに村さんの妹さんが迎に来た。昨夜の美酒がまだ体内に燗冷ましのように残っている。渇く咽をミネラルウォーターで癒しながら旧吉野川河口に広がる鳴門金時芋の畑を抜け港に近い村家に案内された。

まずは鳴門金時芋から
早速、村さんに案内してもらって里中の(地名で言うと鳴門市里浦地区)減農薬で栽培している畑を回ることにした。ここは河口に堆積した砂地地帯で旧海岸線の砂浜と防潮堤の内側を埋め立てた新しい畑が広がっている。

鳴門金時芋と表示できるのは厳密には旧吉野川と新吉野川の海浜地帯、鳴門海峡側から鳴門市里浦町、松茂町、徳島市川内町の三町地区である。

中でも里浦町産のものは評価が高く「里むすめ」としてさらに高級ブランド化が図られている。土質で栽培される芋と違いと砂地は成長時の抵抗が少なく肌がきれいで、海砂に含まれるミネラルにより皮の発色が鮮明でけれんみのない甘味が評価されている。さらに砂地で保水力がないため傾斜地で栽培される芋のようにホクホク感がありおいしい。

作付け時期は4月から5月、収穫期は8月から10月末頃まで続き農家の貯蔵庫で保管され翌年の5月頃まで出荷される。ほんとに美味いのは10月に入ってからだと言う。鳴門金時芋の総出荷量は約8,000t弱、この内減農薬・無農薬栽培と呼べる芋は20t〜30t有るか無いかはっきり判らない。

この時期は朝の陽射しがまだやわらかい時間帯に収穫が行われる。日中の強い日にあたると鳴門金時芋の赤い肌が焼けるとともに蒸れてしまい商品価値が落ちる。

収穫はほとんど機械掘りで、色とりどりのパラソルが開らかれた乗用イモ掘り機によって面白いように掘り上げられて行く。

この後、脱根水洗いをし、一つひとつ芋の両端をカットしサイズごとに選別し箱詰め出荷となる。実に根気を詰める作業である。村さんの一つ先輩で村家の畑も管理しているお宅を訪ね作業を見せてもらったのがこの画像です。



漁師の村さん
ことわって置きますが村さんは漁師です。



鳴門灰干しワカメは炭干しにより復活!
彼の曾祖父は鳴門灰干しワカメを全国的に広めた方でした。しかし現在、草木灰はダイオキシンを含むこともあり使用が禁止されました。
このため活性炭や木炭、竹炭などの代替技術の研究が進み、再び炭干しによる鳴門糸ワカメは復活しました。

渦潮を巻き起こす潮流の脇にアンカーを入れてロープを格子状に張り、このロープにワカメの苗を付着させ四国太郎吉野川が運ぶ養分と鳴門の激しい潮流の中で揉まれ養殖ワカメは育ちます。
鳴門の渦の様子。わかります?

ワカメは水揚げするとすぐに活性炭をまぶされ天日干しされます。炭の強アルカリ分によって迅速に水分は脱水され低温保管されます。

しっかりした歯ごたえと鮮やかな緑色、そして香り
塩蔵ワカメのように一度茹でてから塩漬けするものと違い、加熱湯通しないため使用前に清水で戻し火を通すため、しっかりした歯ごたえと鮮やかな緑色そして香りが高くおいしく頂けます。


村さんの獲る魚は別格
光食品さんの訪問記冒頭で村さんが毎日魚を航空便で送り出している旨を書きましたが、彼の獲る魚の評価は徳島魚市場の中でも別格です。と申しますのも彼の生き締め技術がとても優れているからです。私の文章ではとても表現できないのでやめて置きますが、食べると活魚の鮮度と食感を保持し、魚の持つ旨味をいっそう引き出したおいしいを実感できる技術です。


村さん一家





前回訪問した時の写真です。