農薬・化学肥料・添加物に頼らずに‘食’を創り出す、この20年間に出会った生産者の探訪記。食を探究する生産者や料理人や主婦の方に有機農業の情報も含め、生真面目に丹精込めて作られた食の技、思い、人、その背景を伝えていきたい。紹介する生産者は僕が心から応援したい一緒にあんぜんな食の世界を作ってきた仲間たちです。


〜福岡県甘木市〜 有限会社平田産業 1920創業
非遺伝子組替えの菜種にこだわる
製油専門メーカー
安全な食を次世代へ!
なたね



突然降りだしたスコールのような雨間に、目標にしていたレンガ造りの煙突が、甘木鉄道の駅舎の上に、セピア色の水平に伸びる夕日を映して立っていた。懐かしい郷愁を誘うような40年代に建てられた事務所を訪ねると、28歳の息子、孝一さんが迎えてくれた。

息子さんにお会いする楽しみ
先日、訪問の旨を連絡したとき、お父さんからは「九州から廻らんとね、その日から東京に行く予定・・・、おいしい馬刺し見つけたから、ぜひ先に来れんとね・・・」「いや、その夜には熊本まで入るから時間無いんです。また、あらためてお会いしましょうよ。」と言うことになっていた。そして、息子が帰ってきたから息子に対応するように言っておくとのことだった。
ご存じですか?
わが国の食用植物油脂製油工場のこと。わが国の食用植物油脂製油工場は、かつて菜種、ごま、綿実の産地に立地していました。1960年代1300社あった工場も臨海に移ると共に中小のメーカーは廃業し、2003年には30数社に激減しています。

そのとき、アァ、後継者が出来て良かったな、時代に棹差してまで消費者の健康第一を考える食品造りにかけている平田さんの努力が、もう一つの無限な可能性を秘めた希望を育てたかと思うと、息子さんに会うことが今回の楽しみになっていた。


見学のため工場に近づくと菜種の香ばしい香りが漂ってきた。


平田産業のなたね油の製造方法&おすすめの理由
まず原料が良い!
原料は非遺伝子組み替えの菜種(なたね)。

製造方法が素晴らしい!
平田さんの製造方法は、菜種の種子を加熱し機械の圧力だけで絞る一番絞りです!

(一般品は有機溶剤のノルマルヘキサンでの抽出なんです。)


手間をかけて味と香りを守る!
油の不純物除去には(泡立ち成分、ロウ分、残留物など)化学薬品ではなく、食酢での一次処理とお湯で洗い取る独特な方法で行います。一般メーカーでは2時間〜3時間で済む工程に、3日間かけるのです。手間はかかりますが薬品で原油を傷めないので安全性、味と香り、対酸化性に優れています。菜種の持つ淡白なおいしさと風味豊かな香気が特徴の質の良い油が出来上がります。


非遺伝子組み替え菜種使用
圧搾一番搾りキャノーラ油のできるまで
 

1,原料のなたねをロースターで過熱します。

2,過熱された菜種を圧っぺんします。


3,圧っぺんされた菜種を機械圧で搾ります。


4,搾り出された菜種の原油。
5,脱洗い装置 泡立ちの原因となるガム成分を食酢で除去し、湯洗い装置 お湯で洗浄し、ワックス分や不純物を取り除きます。

汗だくになって説明するのが平田孝一さん。(28才)
6,パック自動充填をし、金属探知機で異物混入を検査後出荷します。


なたね油(キャノーラ油)ってどんな油?
菜種油は淡白なおいしさと風味豊かな香気と薄萌黄色の発色が特徴です。菜種油はオレイン酸を多く含みリノール酸、リノレン酸はビタミンFとも呼ばれ、体内合成できないために動植物油から摂取する必要があるため、必須脂肪酸と呼ばれている油成分などから組成されています。
オレイン酸:オレイン酸は善玉コレステロールを低下させずに、悪玉コレステロールを低下させる効果があります。
リノール酸:リノール酸は血中コレステロールを低下させ、リノレン酸は血栓を抑制する効果があります。




非遺伝子組み替えの原料使用!
平田さんでは自社で使用する原料は遺伝子組み替えされていない菜種を使います。遺伝子組み替え植物の不安は農業生産現場周辺の植生だけでなく、自然界の動植物の生態系バランスを破壊する恐れがあること、人体が長期間摂取することによる安全性の確認がされていないからです。以前は、カナダ産の菜種を原料にしていたのですが、北米の菜種の97%は遺伝子組み替え種となり、残りの3%に関しても、いつ受粉するのかも知れず、また、選粒や保管の過程でたとえ一粒でも混じればキャリーオーバーの恐れがあるとのことで、国が遺伝子組み替え植物の栽培を認めていないオーストラリア産の菜種に切り替えました。
ご存じですか?
いろんな遺伝子組み替えの原料のこと。特に、大豆、トウモロコシに関しては非常に混入の危険度は高く、安全な食品を製造しているメーカーは必要以上の注意を払っています。中でも、鶏、豚、牛の畜産農家は非遺伝子組み替え飼料の入手に苦慮しているのが実情です。日本の健康食を代表する、みそ、醤油、豆腐、納豆などは国産大豆を使った製品を選ぶことをお勧めします。これらの伝統的日本の食品は輸入大豆のような油性分を多く含有する大豆ではおいしいく出来ません。最近では安全性に無神経なメーカー以外でも表示の問題もあり国産に切り替えているようです。





なたね油の他にもあるあんぜんな商品

胡麻醤油(胡麻で作った醤油)
ぐるりと工場の中を案内していただいて事務所に戻り色々な話をしていると、胡麻で造った醤油?が展示してありました。ナニ、コレ?ウム。胡麻で醤油醸造。確かに味は醤油そのものです。社長が8年かけて特許製品化したごま醤油だそうです。
胡麻の種子は菜種以上に油成分が多くそのままでは醤油造りには適しません。そこで、ごま油を絞った後の胡麻と甘木二条大麦(キリンビールが昭和30年代だと思うがビール好適種として品種改良した大麦で甘木市にキリンの工場がある。僕もこの甘木二条の種900グラムの栽培から始めて二年後地ビールを醸造しました。)を原料に醤油を醸造したとのことでした。社長からこの話だけを聞くだけでも「おいしい日本の物語」がもう一編書けそうですね。
アトピーの方にも安心な醤油
なぜ興味を示したかと申しますと原料に大豆と小麦を使用していないからです。アトピーと付き合っている人にとっては、アレルゲンの代表である大豆と小麦を使用しない醤油は朗報ですよね。それと、胡麻のセサミンを多く含むのではないかなと思うからです。この醤油に関しては、後日聞き取りをして詳細を補筆しておきます。



メープルシロップ
もう一つ、平田産業さんが以前カナダの農協と付き合っていたときから取り扱っていた純粋なメイプルシロップにライトタイプが増えていました。
メイプルシロップと言いますと皆様はすぐホットケーキを連想すると思いますが、おいしい紅茶を飲むときカスピ海ヨーグルトを食べるときなどに使うとより素材のおいしさを邪魔しない甘味です。


木下恵介監督や山田洋次監督作品の舞台になるような平田さんの工場から車が動くと、画面はグッーと引かれながら、リアウィンドウ越しに遠ざかる孝一さんの手を振る姿を見て、これでまた一つ安全な菜種油は守られたなと、とってもふくよかな気分に浸って甘木を後にしました。